セミナーの記録と日程

全所的プロジェクト研究

第7回プロジェクトセミナー

1999年11月16日 ◆於:社研大会議室

開発と市場移行のマネジメント
—ラテンアメリカ、アジア、ロシア・東欧の経済制度改革の比較研究—

問題提起・司会:中川 淳司(社会科学研究所)
ゲスト:Choong Yong Ahn(韓国中央大学国際関係学大学院教授)
ゲスト:Joao Carlos Ferraz(リオデジャネイロ連邦大学経済研究所長)
ゲスト:Keun Lee(ソウル大学経済学部準教授)
ゲスト:河合 正弘(世界銀行 東アジア・太平洋 主席エコノミスト)
ゲスト:Miguel F. Lengyel(ラテンアメリカ社会科学研究院プロジェクト副代表)
コメンテーター:末廣 昭、藤原 帰一

以下は第7回プロジェクトセミナーの議論の概要である。

Joao Carlos Ferraz】  開発と市場移行のマネジメント
—ラテンアメリカ、アジア、ロシア・東欧の経済制度改革の比較研究—

問題提起

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発言

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 私はこのプロジェクトに大変興味を持っている。我々の国で、また世界で何が起こったのか、についての我々の見方を共有してもらう良い機会だからである。

 私が所属する経済研究所はリオデジャネイロ国立大学に属する研究所で、80人の研究者と800人の学生と100人の大学院生が経済学を研究している。我々の研究の主なものは社会における国家の役割についてである。我々の研究は政策的なインプリケイションが強い。研究グループは、国際、政治、経済、マクロ経済と金融・財政、規制と企業、に分かれて組織されている。これらは中川氏のプロジェクトと連携できるグループである。社会政策は別のところでやっている。我々はこのプロジェクトに貢献できる用意がある。  このプロジェクトに対する私の視角は次のようなものである。

 第1の問題は機会である。タイミングとして短期間ではチリのケースを見ることは難しい。チリは非常に貧しい条件の中から軍事クーデターによってスタートを切ったのだが、25年〜26年間で我々が現在見るような状態に移行した。

 最近では「移行」が「グローバリゼーション」とともに専門家の間で流行語である。このプロジェクトは最新の用語を使ったリアルタイムの、オンラインリサーチへの挑戦と機会を創り出すものであるようだ。確立された命題や現象をテストする種類のプロジェクトではない。新しい発想と方法のものである。

 第2のポイントは、このプロジェクトを成功させるユニークなデザイン、つまり視角を共有し、比較の視点から研究するという点である。このプロジェクトではLBCs、途上国、東アジア、東欧、ラテンアメリカなど異なる研究グループの間で視角を共有しようとしている。とくに重要なことは、多くの重要なものを含んでいるのに今まで知るチャンスが少なかった日本の意見が聞かれることだ。合衆国等の英語による意見についてはすでに多くの情報がある。これはそれらとは違う見方を知ることの出来る良い機会になる。  第3のポイントは、自由化、経済改革、社会政策というこのプロジェクトの対象が適切であることである。  グロ−バリゼーションと金融に関する中川氏の仮説は賛成である。しかし金融以外にも問題がある。私のところの政治経済学者グループが最近出した本では、金融だけでなく通貨ヘゲモニーの役割にも言及している。かつては金、やがてポンド、いまはドルが基軸通貨だが、グローバリゼーションが各国の金融システムを刺激する背後に、通貨ヘゲモニーがある。 このプロジェクトではこれをも視野に入れるべきである。

 提言: 第1には、方法論に関してまだ考えねばならないことがある。プロポーザルの4つの研究テーマ(3+1)についてだが、たとえば第1の自由化については別のやり方もあると思う。方法を提示しよう。自由化と経済改革が重要であるのだが、中川氏のペーパーでは、この二つがごく近いものとして扱われていて、その境界がはっきりしない。3つ目も同様である。これらは一緒にしてしまったほうがよい。これは中川提案とは別のやり方になるが、この方法で研究を実施できると思う。

 第2には、プロセス、決定因、それから結果を導くインプリケイションを検討する。この過程を3つの個別の要素に分けて論理的に行い、推論のためのインプリケイションのところをもっと重要視すべきである。決定因の中でも外圧を重要な決定因と考えねばならない。同時に内的な原因を見ることも大切である。どのようにしてそれぞれの社会が転換に寄与したかという問題と、その過程やイシューについても検討する。プロポーザルでもこのことはもっと強調すべきである。インプリケイションは何か。結果はどうであったか。その過程で誰が勝利し誰が敗北したか。われわれが結論を得ようとしている問題の配置は開発とウェルフェアを促進するのに十分なものとなるか。

 第3のポイントもまた方法論に関するものである。我々が世界を見る視角を共有しようとするのであれば、事象を比較可能なものにするために、互いに参照するのに適当なタームを確定すべきである。

 第4のポイントはこれからの進め方である。我々は互いに他のメンバーの蓄積を聞いて共有すべきである。私はAhn氏とLee氏が韓国について言うことを知りたい。我々が組織するどのセミナーにおいても、気軽にアイデアや知識の交換をするフリーディスカッションが出来ると良い。フォーマルな活動以外にも、2人とか3人とかでフリーディスカッションをする時間を作るのである。

 第5のポイント。各ターゲット地域にその地域でのプロジェクトのヘッドを置いて欲しい。日本や他のOECD諸国における3つのサブジェクトについて、日本人の見通しが聞きたい。12月21日に先進国についてのプロジェクトセミナーが開かれると言うことだが、その内容について知りたい。日本のメンバーが我々の地域について、また他のターゲット国についてどういう意見を持っているかも聞きたい。

 第6には、結果の普及について大いに強調したい。

 第7に、こういう国際会議の一つを何とかリオデジャネイロで開く機会を得たい。遠いところだが来ていただけば人々についても経済的にも社会的にも、我々のリアルな現実を知ってもらえるだろう。

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<要約:土田とも子>