【中川 淳司】 開発と市場移行のマネジメント —ラテンアメリカ、アジア、ロシア・東欧の経済制度改革の比較研究—
発言
Ahn氏が言われた第1のポイントは、ラテンアメリカ、東アジア、旧社会主義国など異なるタイプの国を比較研究する際に非常に基本的なポイントである。歴史的にも制度的な背景も全く異なっている国々を同じベースで比較できるのか、という問題である。私も部分的にはこのような比較研究のフィージビリティについて同様の疑問を持っていないわけではない。この疑問を特に感じるのは、IMFの対アジア政策についてである。我々が研究対象とする国々に対するIMFの一連の政策はほとんど同一のものであった。異なる経済に同じ療治を処方することのフィージビリティについて先ず疑問を感じ、これが正しいか否かを問うたのが、このプロジェクトの出発点であった。だから比較研究のフィージビリティということそのものが、このプロジェクトの研究テーマの一つである。
第2に、私はこれらの異なるタイプの経済は、また同時に、多くの共通点を持つと考えている。もっとも顕著な共通点はグローバリゼ−ションそのものである。ほとんど全ての国がグロ−バリゼーションという現象の影響を受けている。しかしそれに対する反作用や適応、戦略は、歴史的、制度的な違い、政治的背景の違いを反映して、全く異なったものとなる。我々の分析を進めていく場合にこれらの差異を見逃してはならない。しかしこれらの差異を念頭に置いてもなお、私は比較研究は異なる経済の経験の中にある関連性を引き出すのに、非常に有益であると思う。
次はリオデジャネイロ連邦大学経済研究所長、フェラス教授に発言をお願いする。
<要約:土田とも子>
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