第11回プロジェクト・セミナー 2000年2月22日 ◆於:社研大会議室 コアプロジェクト:橘川武郎、大瀧雅之、樋渡展洋 今回のプロジェクトでは企画委員会を中心に、おおよそ次のようなことを対象として検討することが議論されてきた。
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【中村 圭介】 共有すべき課題と視角 →【討論】
<橘川武郎>『喪失の十年?━1990年代の日本の企業』構成案<大瀧雅之>90年代の日本経済とマクロ経済学
樋渡・平島プロジェクトI『喪失の十年?━先進国のなかの日本の政治経済変化』(仮称)
<樋渡展洋>プロジェクト企画案II『「国際化」・「冷戦」以降━国際秩序の変容と日本』(仮称)
大沢プロジェクト『喪失の10年?─1990年代の日本福祉国家』
中村(圭)プロジェクト『変革期における大企業ホワイトカラーの人事管理と業務管理』*中村圭介氏が在外研究中のため、佐藤博樹氏が報告
ホワイトカラーの業務管理現在行われている人事管理の核心は、この業務管理と結びつきが深い。生産現場のブルーカラーについては業務管理は従来からある程度整理ができていて、かなり調査もされて明らかになっているが、ホワイトカラーについては現場での仕事の管理の整理が不十分で現在整理しようという努力がなされている。その実態を明らかにしたい。
現在の人事管理の見直し総額人件費管理 従来は人に関わるコストを全体として把握し管理することはなされていなかった。 総人件費を把握して、できればそれを圧縮する、総人件費と会社の業績とをリンクさせる、部門の業績とそこでのコストをリンクさせる、さらに個人の業績と貢献をリンクさせる。 企業では上のようなことが行われつつある。ブルーカラーはこういう管理はすでに相当なされており、現在問題になっているのは主にホワイトカラーである。これを個人の処遇にまで結びつけることが現在議論されている。こうした実態を把握し、またそういう人事管理が本当に合理的かどうかを考えてみたい。 現在行われている業務管理の見直しは、いわば人事部に対する経理部の攻勢である。経理部の発想は、個人の貢献をコストをリンクさせて数値で示し、短期的に目標管理と人的コストをリンクさせ、できれば仕事給、役割給にして顕在能力主義を導入する、人件費を変動費化して外部労働市場を視野に入れる、など、全体としてコストに基づく競争力を重視する。これに対し、人事部は、人的投資は長期にわたってコストを回収すべきもので投資効果を短期的に数値で表すことはできない、職能資格制度など能力開発に力を入れる、会社という「組織」を重視し、固定費化と変動費化の割合について適切な均衡を維持すべきである、など人的資源の質に基づく競争力を重視する戦略的人的資源管理を主張する。現在は経理部の論理が強くなっていて、人事部はそのレゾンデートルを、根拠を明らかにして示すことが求められている。 経理部の論理が通っていくと、職能資格制度を中心とした現在の人事管理システム—従業員の能力を開発し、評価し、処遇するというシステム—の見直しが行われる。仕事給などの導入である。 われわれのリサーチは、職能給がどういう理由と背景で導入されたかに遡って60年代から見ていき、それが90年代になぜ問題になり見直しという事態に立ち至っているかを検討する。 現在の不況と絡めた短期的な問題としてだけでなく、企業の人的資源の考え方の変化、法的な変化など、70年代・80年代以降でてきた問題も含めて職能資格制度の動きを長期的な視野から検討し、最後にこれからの人事制度のあり方までを論じることを目標とする。 国際比較 国際比較をする場合、日本の実態とアメリカのモデルを比較する、あるいは日本のモデルとアメリカの実態を比較したりすることがしばしばある。しかしアメリカでも日本でも実態とモデルの乖離があるわけで、この関係をきちんと捉えながら比較することが重要である。
メンバー
<渋谷博史>「アメリカ経済班」の準備状況
末廣・小森田プロジェクト『開発/体制移行の経済戦略』
<田中信行>『中国プロジェクト』
<中川淳司>『開発と市場移行のマネージメント━途上国・旧社会主義国における経済政策改革の比較分析』
中川プロジェクトVTR
<記録:土田とも子>
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