【吉川 洋】 転換期の日本経済
→【討論】
労働市場
99年には失業率は4.8%まで上がり、特に男子だけとると史上最高の5.0%となった。図によると90年代の失業率の上昇は、ミスマッチの拡大でなく「需要不足」による人災であることがわかる。98年には雇用者の数が初めて前年を下回った。その中身も、正規従業員からパートなどの非正規職員への転換が急速に進み、失業率に現れない雇用の悪化が起こっている。
90年〜95年にかけての国勢調査によると、就業者の増加した産業では建設業がもっとものびている。利権と絡んだ公共事業が持っている問題と関連した「構造」的な低生産性・非効率を抱える建設業で就業者の増加が圧倒的に大きいということは、雇用者が条件の悪いセクターに滞留していくという意味で、失業率には現れない「不完全雇用」の度合いが小さくないことを示している。
新卒者の労働市場も年々悪化して、2000年度は99年に比べて大卒の採用計画はマイナス8.7%、高卒は前年度比マイナス41.1%の落ち込みである。
<記録:土田とも子>
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