アンケート調査の目的
私たちは、近代以降の日本社会における希望の社会的あり方が、どのような変遷をたどったのかという問題を、法学、政治学、経済学、歴史学、社会学といった社会科学研究の様々な角度から解明し、現代社会における希望のあり方を考えることを目的とした「希望学」の研究を2005年度から始めました。
希望を、現在ないし未来に対する具体性のある展望と定義すれば、社会におけるそのあり方を問うことは、人々の生きる意味や社会変動の方向性を問うことにつながります。その意味で近年、希望の社会的配分が不平等になりつつあるという指摘が様々な角度からなされるようになったことは、看過できない問題です。
そこで、「希望学」の研究では、具体的な対象地域として岩手県釜石地方に着目いたしました。近代日本の産業発展とその後の展開が集約されたこの地域にかつて暮らし、また現に暮らしている人々は、どのように働き、移動し、家族を形成しているのか。そして、それらは希望の生成とどのような関係にあるのか。この点を、歴史調査、社会調査、企業調査、政策調査といった様々な視点と方法で、包括的に研究することが、本研究の狙いです。
今回のアンケート調査では、釜石市民の方々を対象に、釜石市への転入のきっかけ、釜石転入者と釜石出身者との住民意識およびコミュニティへの関与度の比較、また釜石出身者に関しても居住地域や職業、性別、世代による意識の差異について明らかにすることを目的としております。
この調査の結果は、昨年度実施されました釜石市内4高校同窓会調査とあわせまして、学術上の貢献の高いものになることはもちろん、釜石市民のみなさまの今後の生活に役立ちうるものと期待されます。