今回のコンファレンスでは、社会科学と人類学、哲学等のコラボレー ションを通じて、希望と社会の関係の解明に新しい地平の一端を切り開くことを目的としている。
東京大学社会科学研究所では、希望と社会との相互関係を社会科学的に検証する「希望学」研究を進めてきた。そこでは社会科学の観点から、全国アンケート調査及び、岩手県釜石市を対象とした地域調査などにより、希望の社会的位相について考察している。その成果として、個人における希望の有無には、経済的余裕の多寡のみならず、 コミュニティにおける社会的ネットワークの形成のあり方が、重要な役割を果たしていることなどを見出してきた。
ただし、希望の背後にあるのは、それらだけではないだろう。希望とは、未来を展望するための具体的な行動指針であると同時に、挫折を含む過去を理解し、受け止めるための想像力の源泉でもある。希望は、未来と過去にまたがるものであり、つねに両義的な意味合いを含み、画一的な定義に収斂しない。そのような豊かな可能性を秘めた希望の概念は、日常的な幸福の追求や意欲の喚起に不可欠な空間や次元を創造する一つの物語である。
希望の創造と喪失についての課題は、日本国内にとどまるものではない。貧困や環境問題の深刻化、急速なグローバル化に伴う混迷、絶え間ない地域紛争など、世界における希望はたえず揺らいでいる。希望という概念に着目したとき、社会のダイナミズムは、どのように見えてくるだろうか。希望は今、社会や人類に何を問うのか。
今回のコンファレンスは、哲学、人類学、社会学といった観点から、希望をテーマに研究を進めている世界の研究者を招待し、希望と社会のあり方について、社会科学の枠組みを越え国際的かつ学際的な観点から、新たな可能性を探ってみたい。
(尚、同コンファレンスは、東京大学社会科学研究所がコーネル大学との協力をもとに実施するものである。)
106名の皆様にご参加頂きました。 国際コンファレンス:希望と社会の新たな地平へ
参加申し込みは締め切りました。多数のお申し込み、ありがとうございました。(12/14/2007 17:00) |