共催国際会議
「法と経済における希望」
「法と経済における希望」
- 概要:
日米両国において法は社会的・政治的・経済的目的を達成するための道具とされている。しかし、それらの目的の内容はしばしば不明瞭のままである。法の社会的・政治的・経済的目的を考えるひとつの方法は、人間個々人にとって希望のある状態を作り出す条件とは何かという問いとの関係で考えることである。法や市場は、希望の社会的、そしてグローバルな分配にどのような役割を担うのか。個々人が法や市場と接する際に、希望がある、もしくは希望がないという状態はどのような役割を果たすのか。そして法や法的行為に触れることが、個々人が人間として繁栄すること、すなわち希望をもつ能力に、どのように寄与するのか。この会議では、日米における憲法、財産法、労働法をめぐる具体的な事例、そしてトクヴィルからバラク・オバマにいたるまで政治過程における法理論の役割に関する研究にもとづきながら、これらのテーマについて考察する。
この会議は、コーネル大学と東京大学社会科学研究所の間の共同研究の成果にもとづき、両研究機関において実践されてきた法の学際的研究の豊かな伝統、そして社会科学と人文諸領域を統合した法と政治への独自のアプローチを提示する。この会議のより大きな目的は、異なる社会・法体系における法の学際的研究のための新しく野心的な提案をすることにある。また、これまで「希望学」では、経済学・社会学・政治学・文化人類学の立場から、主として市場とその社会的影響に焦点が当てられてきた。この会議では、そうした学際的議論が今日の法研究の諸問題にどのような新しい視点を提供しうるのか検討する。そして、法を精神医学、宗教、選挙政治などとともに社会工学の道具のひとつととらえ、その文化的影響について考えることからどのような新しい知見が得られるか考える。 - 日時:
2008年10月14日 午前10時−午後5時 - 会場:
国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール(東京都港区六本木5‐11‐16) - 主催:
コーネル大学法科大学院クラークプログラム東アジアの法と文化研究所
東京大学社会科学研究所 - 参加登録:
参加費 : 無料(事前登録が必要です)
定員 : 150名 (参加申込が多数の場合は先着順とさせていただきます。)
登録方法 : 終了いたしました。 - 言語:
英語及び日本語(同時通訳あり) - プログラム:
- 10:00 - 10:15am
- Opening Remarks
・アナリース・ライルズ(コーネル大学法科大学院クラーク極東法学教授)
・宮崎広和(コーネル大学人類学科准教授)
・玄田有史(東京大学社会科学研究所教授) - 10:15 - 11:00am
- The Social Obligation Norm in American Property Law
アメリカ財産法における社会的責務という規範
グレゴリー・アレクサンダー(コーネル大学法科大学院A.ロバート・ノール教授)
コメント: 石川博康(東京大学社会科学研究所准教授) - 11:00 - 11:45am
- Hope, Migration and Constitution
希望・移民・憲法
酒井直樹(コーネル大学アジア研究学科・比較文学科教授)
コメント: 阪口正二郎(一橋大学大学院法学研究科教授) - 12:00 - 2:00pm
- Lunch
- 2:10 - 2:55pm
- Hope and Society in Japan
日本における希望と社会の関係
玄田有史
コメント: スチュアート・シュワブ(コーネル大学法科大学院長) - 3:00-3:45pm
- Why Hope Now? The Significance of Hope in Political Theory
なぜ、いま、希望を論じるのか--政治理論の視点から
宇野重規(東京大学社会科学研究所准教授)
コメント: アナリース・ライルズ - 3:45 - 4:00pm
- Break
- 4:00 - 4:45pm
- Reveries before Law: Considering Hope at a Senior Home in Fiji
法の前の夢想--フィジーの公立老人ホームから
春日直樹(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
コメント: 宮崎広和 - 4:45 - 5:00pm
- 総括
小森田秋夫(東京大学社会科学研究所所長)
スチュアート・シュワブ
- ポスター(PDFファイル、963KB)