- 帯の言葉
<私たち>に希望はあるのか?
個人化が進む現代社会で<私>と政治の関係を考える
- 「はじめに」より
<私>とデモクラシーというのは、なんだか不思議な組み合わせに見えなくもありません。ふつうデモクラシーというと、出てくるのは「市民」や「国民」、あるいは「人民」や「民衆」などです。・・・・・しかしながら、本書では<私>こそが、現代デモクラシーを考える上での鍵だと主張したいと思っています。
- みかえしの言葉
一人ひとりが<私>意識を強く持ち、他人とは違う自分らしさを追い求める現代。分断された<私>と<私>を結びつけ、<私たち>の問題を解決するデモクラシーを発展させることは可能なのか。人々の平等意識の変容と新しい個人主義の出現を踏まえた上で、<私>と政治の関係をとらえなおし、これからのデモクラシーを構想する。
- 目次
はじめに
第一章 平等意識の変容
1 グローバルな平等化の波
2 可視化した不平等
3 「いま・この瞬間」の平等
第二章 新しい個人主義
1 否定的な個人主義
2 「自分自身である」権利
3 自己コントロール社会の陥穽
第三章 浮遊する<私>と政治
1 不満の私事化
2 <私>のナショナリズム
3 政治の時代の政治の貧困
第四章 <私>時代のデモクラシー
1 社会的希望の回復
2 平等社会のモラル
3 <私>からデモクラシーへ
むすび
参考文献
あとがき
- 宇野重規 uno shigeki
1967年生まれ
1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)
現在−東京大学社会科学研究所准教授
専攻−政治思想史、政治哲学
著書−
・『デモクラシーを生きる−トクヴィルにおける政治の再発見』(創文社)
・『政治哲学へ−現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)
・『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ、サントリー学芸賞)
・『トクヴィルとデモクラシーの現在』
・『希望学[1]希望を語る−社会科学の新たな地平へ』
・『希望学[4]希望のはじまり−流動化する世界で』
(いずれも共編、東京大学出版会)