7月15日に行われたシンポジウム「希望学宣言」の当日出席者(除 社研教員・シンポジウム・スタッフ)234名のうち、146名の方がアンケートに応じてくださいました。アンケートを書く時間があまりなかったにもかかわらず、こんなに沢山の方々が回答してくださったことは驚きでしたし、大変うれしいことでもあります。
まず、シンポジウムは、これまで共同研究を重ねてきた成果の発表ではなく、ここを出発点としてこういうことを始めます、という「宣言」だったので、「期待します」「がんばって」といった記述が目立ちました。期待には、現時点では未知数だがどんな成果がでるのか期待、というものと、良い企画だから期待、というものと2種類あるようです。
中身はこれからだがチャレンジングな姿勢を評価、リスクテイキングする皆様に敬意、という種類のご意見もかなりありました。ある企業の方からは、どうなるかわからないで始められるとはウラヤマシイ、とも。
上記のように、多くの具体的なご要望がありました。ここに列挙してありませんが、心理学も組み込んで、というご意見も目立ちました。人文諸科学との連携についても提案されています。これまでわずかに学問として「希望」を対象としてきたのは心理学でした。このプロジェクトはあくまで社会との関わりで、社会科学として「希望」を考えていこうという計画ですが、もちろん「希望」である以上心の問題はついてまわります。心理学での蓄積はもちろん学ばなければなりません。哲学や思想方面の研究者の方にも、お話を伺う計画です。また海外ではすでに蓄積が出来はじめている文化人類学とのコラボレーションも考えています。
- アンケートに答えてくださった方々はおおむね好意的なご意見が多かったですが、疑問点を書かれたものも、批判的なものも、当然ながらありました。
紙幅の関係上ここに挙げていないアンケートについても、もちろん検討させていただいております。ご批判を含めて皆様のご意見は、これから共同研究を進めていく私たちにとって、大切な資源です。新しい学問を立ち上げるこのプロジェクトは、方法や対象を探求していくことと、研究自体を進めていくこととを、車の両輪のように進めなくてはならないところに特徴があります。皆様のご意見を議論の中に生かすとともに、今後も公開シンポジウムなどの機会を、できるかぎり持ちたいと思っています。
※「希望学」の参考になるのでは?と揚げて頂いた事柄を最後に列挙致します。
- チンパンジーの世界初のフィールドワーカーで今子供のための環境教育に力を注いでいるJane Goodall さん。"Reason for Hope"という本を書かれています。 〈出版・報道関係〉
- 高橋伸彰さんにも是非参加して頂きたいです。 〈出版・報道関係〉
- 「ショーシャンクの空に」原題がThe Shawshank RedemptionでこのRedemptionという言葉がいいなあと思った記憶があります。これは希望の映画です。 〈出版・報道関係〉
- 『希望の国のエクソダス』(村上龍) 〈学生〉
- 『進歩がまだ希望であった頃』(平川祐弘・著)という本がすでに20年くらいまえにあった。 〈地方自治体〉
- 古いですがグラチア・デレッタの「灰」という小説を思い出しました。 〈 地方自治 体〉
- 先日クランボルツ先生(スタンフォード大)の講演に行きましたがそのときに子どもの頃の職業を実現できる人がいるかどうか問われ、500人中0(ゼロ)でした。楽天的と希望の関連は薄いとのことでしたが先生のplanned happenstance theoryとの関連で詳しい分析が必要かもしれませんね。 〈企業〉
- 三菱総研の「新豊国論」の議論で野口参与と玄田さんとの対談など実現できないだろうかと思いました。 〈自営・自由業〉
- 西研氏の「哲学はどう役に立つのか」(だったと思います、洋泉社)が参考になると思います。 〈無職〉
- 阪大の大竹文雄先生を巻き込んで頂きたいと思います。 〈無職〉