『ビッグイシュー日本版』第34号(2005年9月1日発売)
「希望」について調べてみました
永井暁子・佐藤香
■小さい頃の希望の仕事は叶わぬ夢
誰もが子どものころに「大きくなったら何になる?」と聞かれたり、卒業文集に「将来の夢」を書かされたりした経験を持っている。
私たちが2005年5月末に行った調査によると、男性が小学6年生のころに就きたかった仕事の第1位はトラック・電車の運転手、パイロットなどの「運転」系、第2位はスポーツ選手、第3位は警察官、消防官、自衛官などの「官」系。女性では、第1位の幼稚園の先生や保育士、第2位の小学校・中学校・高校の教師といった「先生」系が多く、それに第3位の小説家・作家・マンガ家が続く。
でも、そんななりたい職業も、小さい頃の希望の仕事に就くことができた人はたったの8%。子どものころの希望が叶う人はきわめて少ないのが現実だ。
■挫折が生む希望がある
けれど、小学6年生のころに希望の仕事があった人のうち、82%が現在、仕事とか家庭とか、何かの具体的な希望を持っていたりするものだ。反対に小学6年生のころに希望の仕事がなかった人では、そんな希望を持っているのは68%にすぎない。
希望を持った経験は、仮にそれが叶わなかったとしても、次の希望へつながっていたりする。それは挫折と希望との関連からもわかる。挫折した経験がある人で、現在、希望を持っている割合は80%(図1)。一方、挫折をした経験がない人で、希望があるのは69%だけだ。
希望は簡単にはたどり着けないから挫折もする。しかし、挫折することで初めてみつかる希望だってある。
■希望の鍵は家族の期待と友達
そもそも希望が持てるのは、豊かな人、成功した人、楽天家だけというイメージもある。しかし、希望を持っているのはどんな人かを調べてみると、男女にかかわりなく、必ずしも収入が高い人の方が希望を持っているわけではなかった。性格的には、「楽天的」かどうかよりも「好奇心が強い」「チャレンジ精神がある」人ほど希望を持っている。
さらには性格の影響もあるが、希望には育った家庭の状況や友人の存在も重要だ。
家庭といっても、子どものころ裕福だったかどうか、家族から愛情を受けていたかどうかは関係なく、家族からの「期待」が希望と強くかかわっている。親から期待された記憶のない人で希望を持っている割合は61%にとどまるが、期待されていた人では82%が未来に希望を持っている(図2)。期待の中身にもよるだろうが、家族から期待された記憶を持っていない人は、未来に希望をもつことも一般的には難しいようだ。
さらには友達も、希望と関連している。友人が「多い」あるいは「やや多い」人で、希望を持っている割合は81%(図3)。友人が「少ない」と答えた人で希望を持っているのは71%と、10ポイント低くなっている。
家族から期待された記憶のない人にとって、友人の存在はさらに重要だ。家族から期待された記憶のない人は、友人が多い。家族から得られる何かを友人が埋めてくれているのだろう。友達は、希望を持つカギを握っている。
< 調査名 > 職業の希望に関するアンケート
< 調査方法 > インターネットを利用したWEB調査
< 調査地域 > 東京23区及び政令指定都市/都市規模5万人以上/都市規模5万人未満
< 抽出台帳 > Yahoo!モニター
< 抽出方法 > 層化多段抽出
< 調査対象 > 20歳代・30歳代・40歳代男女
< 調査期間 > 5月26日〜5月31日
< 発信数/回収数(回収率) > 1620/875(54%)
< 回答者属性 > 20歳代33%・30歳代35%・40歳代32%、中学校卒3%・高校卒34%・専門学校卒15%・短大・高専卒14%・大学・大学院卒35%、男性50%・女性50%、東京都特別区部および政令指定都市36%・5万人以上31%・5万人未満33%
< 調査方法 > インターネットを利用したWEB調査
< 調査地域 > 東京23区及び政令指定都市/都市規模5万人以上/都市規模5万人未満
< 抽出台帳 > Yahoo!モニター
< 抽出方法 > 層化多段抽出
< 調査対象 > 20歳代・30歳代・40歳代男女
< 調査期間 > 5月26日〜5月31日
< 発信数/回収数(回収率) > 1620/875(54%)
< 回答者属性 > 20歳代33%・30歳代35%・40歳代32%、中学校卒3%・高校卒34%・専門学校卒15%・短大・高専卒14%・大学・大学院卒35%、男性50%・女性50%、東京都特別区部および政令指定都市36%・5万人以上31%・5万人未満33%