【加瀬 和俊】 グローバリゼーション下の農業・食糧問題—国民国家と国際調整— →【討論】
II.農業・食糧問題
農業・食糧は、生産は国内で行われ、それが外へ出て行くところで、様々な調整が必要になる。
- 先進国の農業問題
1980年代以降、EUもアメリカも農産物の過剰が深刻化し、補助金を付けて輸出する政策をとってきた。その結果EUもアメリカも財政のうちで農業関係に支出する比重が非常に増大したため、両地域で輸出補助金廃止を決めた。その際アメリカが国内の農業者保護のために決めていたガットのウェーバー条項を放棄したが、そのためにはUR合意という形での国際圧力が必要だった。農業保護政策の根拠としては、福祉国家の余得の均霑という側面と共に、食糧商品の特殊性をふまえた国家責任という側面もあり、農業者が減っても農業保護をどんどん削減する方向に進むには制約がある。
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途上国の食糧問題(この部分は時間の関係で報告は省略)
途上国と先進国の、農産物、工業原料、工業製品の貿易関係では、国際調整によって、あるいは市場原理によって、世界経済の分業的な編成が可能であるとはいえず、依然として南北問題が存在し、グローバリゼーションと対抗していると判断される。
<記録:土田とも子>
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