〈持ち場〉の希望学 釜石と震災、もう一つの記憶
東大社研、中村 尚史、玄田 有史 編
定価 2,800円(税別)
希望学釜石プロジェクトは2006年から釜石地域で総合的な地域調査を行い、釜石の人々との交流を続けてきた。2011年9月からはオーラル・ヒストリー(口述史)の手法を用いて釜石における「震災の記憶」を記録するプロジェクトをはじめた。本書はその記録を素材に、震災直後の被災地・釜石の人々の行動についてのエッセイを取りまとめたものだ。
本書のキーワードは、題名にもある<持ち場>である。震災直後の困難な状況の中、被災地の人々がそれぞれの持ち場を必死に全うしようとしてきた姿を数多く見聞きした。その持ち場意識こそが、震災直後の地域の崩壊をギリギリのところで食い止めてきたのだ。
本書のキーワードは、題名にもある<持ち場>である。震災直後の困難な状況の中、被災地の人々がそれぞれの持ち場を必死に全うしようとしてきた姿を数多く見聞きした。その持ち場意識こそが、震災直後の地域の崩壊をギリギリのところで食い止めてきたのだ。
主要目次
- 序 釜石の希望学――震災前,そして震災後(玄田有史)
- Ⅰ 記憶を記録する
第1章 釜石における震災の記憶(中村尚史) - II 希望学の視点
第2章 褒められない人たち(中村圭介)
第3章 「持ち場」と家族(竹村祥子)
第4章 釜石のある消防関係者の記憶(佐藤慶一)
第5章 調査船の避難行動を担う――県職員(船員と一般職員)の場合(加瀬和俊)
第6章 市職員へのサポート――復興過程における「補完性の原理」(塩沢健一)
第7章 そのとき,政治は(宇野重規)
第8章 発災から避難所閉鎖までの5か月間の市民と市職員の奮闘(吉野英岐)
第9章 「住まいの見通し」はなぜ語りづらいのか(西野淑美)
第10章 「住まいの選択」をめぐる困難さ(石倉義博)
第11章 点と点,そして点――地域住民の希望(佐藤由紀)
第12章 「ねおす」から「さんつな」へ(大堀 研) - III 当事者の視点
第13章 東日本大震災と釜石市――1年間のあゆみ(佐々木 守)
第14章 鉄の絆の復興支援――北九州市の活動(東 義浩)
第15章 釜石と共に生きる製鉄所として,地域支援と事業の復旧に取り組む――(新日本製鐵(現新日鐵住金)釜石製鉄所,(編集・解題)中村尚史) - 東日本大震災関係年表
- あとがき(中村尚史・玄田有史)
- (資料)「震災の記憶」インタビューへのご協力のお願い
- 索引
- 編者・執筆者紹介