東京大学社会科学研究所 末廣 昭
私たち東京大学社会科学研究所では、平成12年（2000年）から全所的プロジェクト「喪失の10年？ 90年代の日本をとらえなおす」（5ヵ年計画）を開始しました。
このプロジェクトは、合計9つの分科会から成り、そのひとつとして、
「自由化・経済危機・社会再構築の国際比較：アジア、ラテンアメリカ、ロシア東欧」（通称、自由化と危機の国際比較研究会）
研究主査：末廣 昭、小森田秋夫と題する研究会を立ち上げ、その準備を重ねてきました。
この研究会の目的は、主として日本における地域研究者が集まり、3つのテーマについて東・東南アジア諸国、ラテンアメリカ諸国、ロシア東欧諸国の3地域の相互比較と検討を進めようとするものです。３つのテーマは次のとおりです。
（１）経済自由化のプロセスとその政治経済的背景の相互比較
（２）危機後の制度改革（経済改革）、とりわけ企業ガバナンスと国営企業の民営化
（株式会社）の相互比較
（３）危機後の社会再構築計画、とりわけ社会政策・社会保障制度に代表される
「生活保障システム」の相互比較
研究会の趣旨と関心、視角と方法につきましては、ホームページに掲載してある「研究会の目的」のほか、ここに添付致しました末廣の報告書（ＰＤＦファイル）
「自由化・企業ガバナンス・社会政策：アジアの観点から」 表１、 表２
にかなり詳しく紹介しておきましたので、そちらをご覧になっていただければ幸いです。
また平成１２年度（2000年度）に、不定期に実施しました研究会の成果につきましては、「社会科学研究所調査シリーズ（ISS Research Series）」の一部として、現在、『自由化・経済危機・社会再構築の国際比較：アジア、ラテンアメリカ、ロシア/東欧
第１部 論点と視角』と『Comparative Studies of Liberalization, Economic Crisis and Social Restructuring in Asia, Latin America and Russia/Eastern Europe Part II: Chronology』と題する2冊の報告書を作成中です。
その内容の構成につきましては、目次をご覧ください。
さらに、平成12年9月に実施しました東京大学社会科学研究所シンポジウム
「開発と市場移行のマネージメント」では、
第１セッション「グローバライゼーション 報告 中川淳司」、
第2セッション「経済自由化 報告 安忠栄」、
第3セッション「企業ガバナンス 報告 末廣昭」、
第4セッション「ソーシャル・セイフティネット 報告 タデュウス ・コワリク」
の基調報告と各3名からなるコメントを行ないました。このときの報告とコメントの内容につきましては、 東京大学社会科学研究所『社会科学研究』第52巻第5号（2001年3月） に全文が掲載されています。
さて、お願いがあります。この研究会では、国内の研究者に呼びかけて、上記の3つのテーマにつきまして、できるだけ幅広い視野から問題をとりあげ、地域ごとの特徴と地域横断的な問題点を明らかにすることを、主たる眼目としております。
そのため、研究会はできるだけ「オープン形式」にし、 報告書の作成とか本のとりまとめは当面急いで考えず、時間の都合のつく方に随時出席していただき、普段はあまり交流のない地域と地域のあいだの自由な意見交換会を企画しています。
したがいまして、手当もでませんし、年度内の報告書の執筆義務もありません。
もし趣旨にご賛同いただけるようでしたら、電子メイルやホームページを利用して、研究会の案内なり、こちらで作成した資料・報告書をみなさまのお手元にお送りしたいと考えています。
出席は自由ですので、案内の送付につき、下記事務局（上村担当）まで、ご連絡いただければ幸いです。3地域に共通する問題の背景と特質を、新たな視角と方法でとりあげたいと「やや野心的に」考えておりますので、 なにとぞご協力賜りますようにお願い申し上げます。
添付資料
1
2 『自由化・経済危機・社会再構築の国際比較：アジア、ラテンアメリカ、ロシア/東欧』
報告書の目次
3 「開発と市場移行のマネージメント」シンポジウムの報告書の目次
敬具
連絡先 主査 末廣 昭（asuehiro@iss.u-tokyo.ac.jp）
03-5841-4937; fax 03-5841-4905
