【宇佐見 耕一】 ラテンアメリカにおける福祉国家
1.ラテンアメリカにおける福祉国家
ラテンアメリカ諸国では第2次世界大戦以降、年金制度の制定が進められている(例 ブラジルの労働法制の整備、アルゼンチンの労働法制、社会保障制度の整備)。ナショナルミニマムの達成は実現しなかったが、枠組としては完成しており、それを達成しようと努力している。その意味で、先進国の福祉国家の発展と並行してラテンアメリカ諸国でも福祉国家が形 成されている。ところが今までのラテンアメリカ研究では戦後のISIにもとづく発展と政治体制に関する研究が中心で、福祉国家に関する研究がほとんど存在しない。
ポストISIシステムと並行して従来の労働法制、社会保障制度の改革が進んでいる。それは1990年代以降進行しているグローバリゼーションのなかでのラテンアメリカ経済自由化と 同時に進行しており、改革の実態や意味を知る必要がある。
<記録:表江清美>
|