2.アジア経済研究所での「ラテンアメリカにおける福祉国家」研究会
第一年目にあたり、福祉国家論に入る前に諸制度・政策に関する知識不足を補うため、メキシコ・ブラジル・アルゼンチン・ペルーの個別事例研究を行った。以下は今年度の成果である。(これは中間報告として位置付けられ、本成果は来年度完成予定である。)
「ラテンアメリカにおける雇用と社会保障政策」
第1章 開発とガバナンス 篠田武司(立命館大学)
第2章 メキシコにおける経済構造の再編と女性労働 畑恵子(早稲田大学)
第3章 社会自由主義国家と職業教育 小池洋一(アジア経済研究所)
第4章 アルゼンチンの大量失業と雇用政策 佐野誠(新潟大学)
第5章 メキシコにおける年金改革 谷洋之(上智大学)
第6章 ブラジルにおける公的年金制度 子安昭子(神田外語大学)
第7章 ペルー型福祉体制と新自由主義 遅野井茂雄(南山大学)
第8章 アルゼンチンにおける社会医療保険改革 宇佐見耕一(アジア経済研究所)
福祉国家を論ずる際に雇用における国家の関与の度合い、女性政策などのファクターも重要である。2章から4章までは「雇用」、5章から8章までは「社会保障制度」に関する報告であり、さらに2章においては「フェミニズム」の観点から雇用を論じている。
【関連専攻研究】
田中浩編『現在世界と福祉国家:国際比較研究』御茶の水書房、1997年…アジア、ラテンアメリカ、アフリカをカバーする福祉国家の諸制度に関する初めての網羅的本。完成論文ではなく紹介的にまとめられている。
グスタボ・アンドラーデ・堀坂浩太郎編、『変動するラテンアメリカ社会:「失われた10年」を再考する』、彩流社、1999年。
仲村優一・一番ヶ瀬康子、『世界の社会福祉:アフリカ・中南米・スペイン』、旬報社、2000年…アジア編、東欧・中南米編も含む福祉分野に関するシリーズ。論文によって紹介的なものから学術的なものまでスタイルが様々である。
<記録:表江清美>
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