- 社研のコア・プロジェクトや、現在計画している他の連携プロジェクトとの調整をどうするかが問題である。私の考えているプロジェクトとテーマが重なるので共同でやることが出来ると思われるが、組織については、こちらでも外国を含めた共同研究者を考えているので、その調整も必要である。
- 全体をまとめ上げるディシプリンは何か。具体的に議論をはじめると、経済・法律・政治など各専門の間で視角や議論が重なりにくいなどの問題が起きてくるのではないか。
- 開発・移行戦略という問題領域は固まっているが、まだアプローチの仕方については詰めていない。政策の選択肢を洗い直すには経済的アプローチが必要だし、制度の問題では政治学、規制やその緩和などの実証分析では法律も必要になる。
- 金融制度改革などを考えると途上国や旧社会主義国だけでなく先進国も対象となるので、研究協力者としては先進国対象の専門家も入る必要があるのではないか。
また社会保障制度改革やプライヴァタイゼーションを実施する場合には、大陸ヨーロッパも対象となるのではないか。
- 単純な地域割りでなく、社研のコア・プロジェクトと重なる部分を意識的に入れて、相互に議論が行われるような組み方が必要である。
- 開発・移行戦略という同様の領域を対象とすることを考えている私の周辺では、80年代、90年代を整理し直すことに重点があり、21世紀のパラダイムを展望しようというつもりはない。中川氏の計画は展望に傾斜しているように思われるが。
- プライヴァタイゼーションはコア・プロジェクトで考えているガヴァナンスの問題とも重なるし、グローバリゼーションも社会保障制度改革もコア・プロジェクトと関わってくる。
開発・移行戦略を対象とするこの案は、貿易・投資に焦点があるようだが、実際は金融や通貨のほうが重要ではないか。
- 欧米でいうと、80年代は新保守主義が勢力を伸ばし、しかし旧社会主義圏がつぶれて新保守主義も影が薄れ、90年代はグローバリゼーションの波が押し寄せ、それに絡む問題が出ているのが現在である。これらが政治的に捉えられる問題か、主として基底にある経済の問題なのか、まだ見極めがついていない。80年代90年代については、先進国も途上国や東欧と同様、まだ検討されていないことが沢山ある。日本も同時代的な観察についてはまだ見るべきものが出ていない。欧米、日本、途上国、旧社会主義国等、地域を横断する形で問題を析出できないだろうか。
- 今までのセミナーや委員会での議論で、企画・問題意識は出そろいつつある。全体をどう関連づけ、組織するかが問題である。
- 前回の共同研究では、全体に大きなフレームワークがあって、そこにいろいろな部分をはめ込んでいる。地域割りともテーマ別とも違う、大きな枠組みが出来ると良いのではないか。
- 大きな枠組みはあった方がよいかもしれないが、それを無理に一つの分析枠組みであるとしない方がよい。
- 組織だけでなく研究の中味についても大いに議論して、共通の問題関心を作っていくと良い。今年度中には組織を形作り、研究計画の中味もおおよそかためて、来年度から本格的に発足できるようにする。