セミナーの記録と日程

全所的プロジェクト研究

第3回プロジェクト・セミナー

1999年6月22日 ◆於:社研大会議室 

アメリカ経済分析の視角  報告:渋谷 博史

グローバリゼーション下の農業・食糧問題—国民国家と国際調整—  報告:加瀬 和俊

 プロジェクト・セミナーは第3回をむかえ、グローバリゼーションの進展が市場とその外部の関係にさまざまな問題を引き起こしていることに関連して二つの報告と議論が行われた。渋谷博史氏からはアメリカ市場主義の波及の特殊性とその問題点、加瀬和俊氏からは、市場化になじまないものとしての農業・食糧に関する国民国家と国際調整の間の問題が報告された。

【加瀬 和俊】  グローバリゼーション下の農業・食糧問題—国民国家と国際調整—   →【討論】

I.課題

 市場のグローバル化が進展する今日においても、人口、農業、食糧、土地、環境など、市場化の困難な領域が存在し、これらは国民国家による方向付けが必要である。しかし現在グローバリゼーションの中で、それらは国際関係による制約を受けざるをえない。

 こういう中で国民経済と国際調整がどのような関係になっているのかを、農業・食糧問題という切り口から検討してみたい。アクターとしては、国民国家、国際機関、地域統合機関などが考えられる。国民国家は国内の対立する勢力の利害の調整、意志形成に国際機関を利用する場合もある。国際機関は理念としての市場主義(自由貿易)の側面、事実として貫徹してしまう市場主義の側面のほかに、人権、途上国支援、環境保護、自然生物保護などの理念を、国民国家同士の利害調整に使う場合がある。こういう関係にあるアクターとしての国民国家と国際機関を念頭に置きながら、以下農業・食糧問題に現れた国民経済と国際調整の問題を考えてみる。

II.農業・食糧問題

III.海洋法と漁業問題

IV.まとめ

<記録:土田とも子>