今後のプロジェクトセミナー
セミナーの記録と日程
全所的プロジェクト研究
 

第3回 全所的プロジェクト研究企画委員会

第3回の委員会の議論から

10月21日に開かれた企画委員会では、予算のほか、中川プロジェクトが企画しているワークショップの概要と、これからのプロジェクト研究の進め方について、話し合われました。

I. 11月16日第7回プロジェクトセミナー(ワークショップ)


 
中川氏報告予定のの11月のセミナーは、外国から数人のゲストを招いて今後何をどのように共同で研究していくかという議論を含むワークショップとする。

問題提起
中川淳司
15:00-15:30
テーマ
開発と市場移行のマネジメント
―ラテンアメリカ、アジア、ロシア・東欧の経済制度改革の比較研究―
コメント
Joao Carlos Ferraz 
リオデジャネイロ連邦大学経済研究所所長
李 根 (Keun Lee) 
ソウル大学経済学部準教授
(プラス数人? 未定)
15:30-16:00
オープンフロア
ディスカッション
(発言者 末廣、藤原、各氏 ほか)
16:00-17:00
司会
中川淳司
言語
英語
懇親会
17:00-18:30
(中会議室)

※ ゲストの方々からは中川氏に対するコメントのほか、それぞれの地域における関連領域で現在問題になっているイシューを報告してもらう。

 

 
II. 今後の研究の進め方、組織の仕方


 
橘川氏からの、各プロジェクトの考えていることがおおむね出そろったが、この段階で(1)検討すべき大きな問題で抜けているものがあるか、(2)どうやって各プロジェクトを連携させていくかということを主として考えて欲しい、という発言を受け、各人からの概要の説明が行なわれた。


I. 中川・末廣・小森田プロジェクト(*別紙「研究会図」(末廣氏作成))

 前回プロジェクト委員会で中川氏が報告したプロポーザルは膨大なものであったが、整理してコンパクトにまとめ、実質を固めていくために、中川、末廣、小森田各氏で10月15日に打ち合わせが行われ、以下の方針が立てられた。

 別紙「研究会図」のとおり、7本あった研究の柱を3本(プラス1)にまとめる。

研究の柱
a.
_ 貿易・金融・投資の自由化、政策決定メカニズムも含む
b.
_ 経済制度改革(金融制度改革を中心に)
c.
_ 社会政策(ソーシャルセイフティネット、年金改革、社会保障制度など)  
(d.)
_ (展望と制度設計)

研究の柱の中の論点
  (1)世界銀行、国際会議等で議論されている事柄
a.
_ 国際短期資金の動き、証券投資と直接投資、国内金融市場・金融制度
b.
_ 金融市場改革、企業財務・会計改革、経済改革関連法案、国営企業の民営化
c.
_ 年金・社会保障問題(自己負担原理)、雇用安定化、失業対策  
d.
_ (地域統合、地域協力)
  (2)地域研究者グループで議論されている論点
a.
  規制緩和・自由化の推移、その国際圧力・国内圧力、地域・国のパターンの違い
b.
  制度・組織のしくみ、政策決定メカニズム(aとも関連)、政治構造との関わり
c.
  (1)のcと重なる。ただし各国、各地域で何がイシューになっているか再検討する
d.
  (グローバル化への統合路線or反発、選択的対応 (accommodation))
  • (1)は主として中川氏と外国からの共同研究者、(2)は主として末廣氏・小森田氏と国内の地域研究者、4つ目の柱(d)は主として藤原氏の発言を念頭に置いている。相互に密接に連携を保って進めていく。
  • 地域別の代表者として別紙「研究会図」(3)(1)〜(4)を考えており、これから依頼する。11月のプロジェクトセミナーの案内を送って出席を請うが、実際の相談は年明けに行う。
  • 運営の仕方は、従来の全体研の班研究会のように月一回の研究会報告を重ねるのでなく、各地域代表者は独自に自身のネットワーク(社研の中を含む)で研究会を組織し、2ヶ月に一度程度集まって、情報交換、地域を横断するテーマをめぐる議論を行う。(詳細は別紙「研究会図」)

II. 加瀬プロジェクト

 WTO改正の中での国際的な食糧問題をテーマとして設定する。食糧問題に関連する先進国間の矛盾―自由貿易、ダンピング認定、保護主義などの問題が入り乱れている状況。農業・食糧問題関係で、所内・所外合わせて8人くらいの共同研究者を考えているが未確定。また、他のプロジェクトとの関係で食糧問題に限定してよいかどうか、まだ流動的である


III. 大瀧プロジェクト

 私のグループは、すでに別紙リストの人々に声をかけ、おおむね参加の承諾を得ている。金融と労働の二つの側面から90年代の日本経済を描写し評価することが目的である。

 日本の労働市場については、企業(銀行)のトップや官僚をどうやって規律付けるかが重要な問題で、90年代ここにいろいろな問題が噴出した。これは金融だけみていても分からない。企業の中でエクゼクティブがどうやって育成され、どういう人間がプロモートされてくるか、組織の論理を近経から考えてみたい。この意味で金融と労働が柱となる。

 97年〜8年にかけて深刻化する不況の中で、財政をめぐる同一の人々の議論が、政府の財政改革の側に立つ主張からケインズ型の公共事業を主張する側へと、大きく変わった。労働市場の問題は政府の有効需要政策と密接に関連する。ケインズ政策の有効性と労働市場の機能の問題とか、公共事業の中味に公的な金融の果たす役割など、検討すべき問題がいろいろある。これらを念頭にメンバーを選んだ。あと金融の自由化と年金・高齢化の問題をやる人が欲しい


IV. 渋谷プロジェクト

 従来から駒場で行っているアメリカプロジェクトとテーマがある程度重なる。それが2000年で終わるはずが2002年までかかることとなった。そのネットワークを更に拡げてアメリカ研究グループを作り、このプロジェクトに貢献する計画であるが、最初の予定より2年遅れる見込み。


V. 中村(圭)プロジェクト

 仁田、佐藤、石田各氏と所外から2人くらいの共同研究者を考えている。テーマは90年代のホワイトカラーの人事管理を中心とする。大瀧・松村氏のグループと内容的に重なる部分がある。アメリカとの比較も考えていて、労使関係のS. ジャコビー氏と緩く共同研究を組む予定。この部分は渋谷氏と重なる。


橘川

 私のテーマは企業から考えているが、金融・労働から規律付けを考える大瀧氏のグループとも重なり、樋渡氏とも重なる。重なる部分で連携しながらやっていくことが出来る。

 90年代の日本を見るとき、法の問題がどう関わるのか、中村(民)氏に聞きたい。


樋渡

 (1)比較政治の研究者 (2)国際政治経済論の学者、この二つのグループが一緒になって研究する予定である。(国際化などにともない)国内の政治的な面でどのような変化が起きているのかと日本と他国との関係が地域および国際秩序にどういう影響を持っているか、という主題とが、その関連を含めて対象になるわけである。


中村(民)

 法的な問題は各連携プロジェクトのテーマそれぞれに関わっている。

 国内でいうと、規制緩和は80年代から始まっているが90年代はそれに対応した政府の改革―行政改革がある。例えば情報公開などは、法律面から政府のあり方を開かれたものに変えていく側面がある。

 国際政治では、地域統合への加担は重要である。例えばAPECには90年代の新しい統合のあり方がある。緩やかなネットワークで法的拘束はないが、政策決定の機能を持つ。行政改革についても近年同じような傾向があって、注目にあたいする。

 大瀧氏の、金融と労働の話では、政府が規制していた部分が緩和されていくが、何らかのものが残る。この部分に法的な面が関わっている。

 中村(圭)、橘川両氏のテーマも、行政からはいっていって法的側面が関われる。

 加瀬氏のテーマに関して。APECがFood Systemを作る要請がビジネス界から有り、今年のサミットで、ゴーサインが出て立ち上がろうとしている。WTOでも、農業問題特に補助金に関して新しいネゴシエーションが始まっている。これはEUも絡む問題である。これらは国際通商法の領域である。

 中川氏のは、開発援助という切り口であればODA規制という政府プログラムに法的な面が関わってくる。 。

 

フリートーキング

_  90年代ほど労働法が大きく変わった時期はあまりない。戦後の労働改革に匹敵する。これが何を意味するか、法学者からのアプローチが欲しい。
_

 年金改革も90年代の大きな出来事である。労働法学者は一斉に社会保障法をやりはじめている。90年代の労働法、社会保障法が関わる問題は、法学者がもっとも貢献できる分野である。
 コーポレイトガヴァナンスに関しては、経済学者の議論と法学者の議論が交叉するようになっている。この領域では会社法が関係してくる。90年代の法律は経済とは重なりやすい。国際政治のターミノロジーと法のそれがの接点がまだよく見えていない 。

 

 90年代に焦点を合わせるということだが、政治からいうと80年代から見たい。政治では、新保守主義が英・米と部分的には大陸ヨーロッパに広がって、日本でも中曽根・鈴木政権など新保守主義的な傾向の政府が出来た。コンテクストはそれぞれ違っているが、大きく括れば戦後的な政府の役割の変化、大きな政府から小さな政府への流れといえる。これらを背景にいまのところ二つの研究の柱を考えている。

(1)ドイツとEUに関するもの。ヨーロッパ統合は80年代から急速に展開した。日本とアジア諸国、あるいはASEANがこれとパラレルに議論は出来ないが、地域統合論として比較できる面があるのではないか。またガヴァナンスの変化も重要な論点となる。一国内のガヴァナンスでなく政策的にも国境を越えるものがイシューとなっている。EUをやる場合は工藤、中村両氏と連携してやっていく。現在進行形の側面があるので、それが難しいところである。

(2)80年代以降の日本と、ドイツを中心としたヨーロッパと、出来ればアメリカをいれて、比較の視点から見る。樋渡氏の(2)と密接に関連するテーマである。

 コンテクストとしては、政治的には保守主義が出て、経済内部の変化もあり、社会的には高齢化・少子化など、全体的な構造変化の中で、政治的アクターがどう行動したかについて、地域横断的な共通性と、差異とを見る。ファクターの認識と戦略、制度的な制約などを見ていく。日本に即していえば、「改革」がいろいろな側面で言われたが、その意味内容がどんどん変わっていく。行革→政治改革→選挙制度改革、というように。

   日本の戦後のアメリカ経済に関する情報は沢山あるが散らばっている。まずアメリカ経済の研究者と研究情報のネットワークを作る必要がある。というのが私の最初の問題意識であり、外部で立ち上がっているアメリカ経済の共同研究でやり始めている。しかし委員会の、90年代に焦点があるという問題意識を聞くと、アメリカ経済班で90年代研究対応チームを作ると良い。リアルタイムのものも扱うとすると官僚も共同研究者に頼むかも知れない。アメリカの研究者も共同でやるつもりである。
   政治学者としては、90年代の日本を中心に、ひとつは貿易・投資の自由化が、金融・経済制度や社会政策の改革、統治構造の改革にどういう影響を与えたか、そして国内の改革が政治改革、選挙制度改革や政党政治の変化とどう関わっているかという問題と、もう一つは、そうした対応が日本の外交や対外的な経済関係にどういう影響を与えたか、が大きな柱となる。その結果、日本の現状分析やあるいは日本との比較分析をしている政治学者などをを組織する。この場合、現在の動向についてもっとも真剣に調査などをしているのは、外国人を含む大学院生で、いまドクター論文を執筆中の人達だと思われるので、広く外国人を含めたそうした院生にも声をかけて、ペーパーは出してもらうようにしたいが、最終成果には良いものだけを載せるようにしたい。
   私のグループは、メインのメンバーは4人〜5人だが、その他に若手の研究者や大学院生を組織して調査を行う。私のところも参加者には大学院生も含めて全員論文を書いてもらい、最終的な成果物には優れたものだけを載せる。
   中村(民)氏に金融関連で法律がどう関わるかを聞きたい。金融再生については?
   銀行制度の改革、80年代の規制緩和、行政指導、等々が法律として関わってくる部分で、金融再生の問題も重なってくる。
   各連携プロジェクトの計画がかなり出そろってきたが、そのほかに社会政策、セイフティネットを対象とするプロジェクトが必要かもしれない。大澤氏を中心に、廣渡氏、(場合によって加瀬氏も)などが挙がっている。大澤氏は年明けに報告予定。
   国民国家とグロ−バリゼーションとの関係という問題に、国際機関がどう絡んでくるかという課題として、食糧問題を選んだ。しかし他のプロジェクトと関連づけるためと、初めのテーマでは所内で共同で出来る人が少ないので、再構成も考えている。

橘川

 各プロジェクトは末廣氏の研究会図を参考にして、11月12日(金)までに、下記の項目についてメモを調査室(土田)まで提出し、委員はあらかじめそれらを読んで、次回11月18日(木)のプロジェクト委員会ではそれを中心に議論する。

項目
(1)
イシュー(何を取り上げるか)
(2)
メンバー(可能な限り) 出来れば(1)と(2)をクロスさせてマトリックスを作り分担まで入れると良い。
(3)
運営の仕方、組織 各プロジェクトごとに紀要の特集号がもてるように組み、どういうテーマでいつ頃紀要を編集するかを念頭において考える。
(4)
進めるにあたっての体制
(5)
プロジェクト相互の関係

 これらは、最終的にどのような形で成果を編集するか(一定の時期に定期的に刊行される全何巻かのシリーズとするか、時期も出版社もある程度自由で、しかし副題等で統一された緩いシリーズとするか、等々)、全体の大枠をどうするか、等を追々考えていくためのものでもある。


〈文責 土田とも子〉